コラム
COLUMN
できるできないって自分で決めるんだぜ
仕事をしていると、たまに耳にします。
「それは○○さんには無理だよね」。
客観的に見てその子の能力以上のことをここで無理にさせてしまうと、相手にも迷惑をかけるし、何より本人がキャパオーバーになってしまう。
両者ともいいことがないので、ストッパーのような意味合いで使うことも多々あることでしょう。
実は私もそれが、いい事の部類に思っていました。あの日までは。
僕もみんなと同じことがしたい
うちの長男は、未熟児で生まれ2歳で自閉症と診断を受け、3歳でもやもや病になり2度開頭手術をしたという、文字にするととても大変な男。
未就学児の頃なんて、ほぼ毎日何かしら体調を崩したり、虚脱発作が出たりなどを繰り返していたので自動的に私自身に刷り込まれていたんですよね。
「この子は、人並みのことをするのが難しい」って。
そんなこんなを繰り返しながら、気づけば10歳。
昔のように倒れたり等が少なくなったころに、近所にトランポリン教室があることが分かりました。
本人がというよりも、落ち着きがない弟のストレス発散になればと体験を申込したのですが「僕もやりたい」とのこと。
特段反対する理由もないので、一緒にトランポリンを始めました。
弟はどんどんワザを習得し、検定などに出る一方、長男はまだ最初の最初でつまづく始末。
1年かけても先に進まない。
2年目に先生と私で、障がい者用の内容に切り替えないかと本人に相談したのですが「僕もみんなと同じことがしたい」「できる」「やりたい」の一点張り。
何もこちらも級を取ることを目的としていたわけではないので、何年かかってもまあいいかとある種諦めの境地にいました。
できっこないをやらなくちゃ
いつものように何度も何度も同じことの繰り返し。
もう心折れていてもおかしくない状況にも関わらず、本人は一度も「やめる」と言わない。
そしてある日
完璧に飛べたんです。
先生も号泣ですよ。私もアワアワって手が震えました。
周りのお友達も「すごい!」って拍手喝采の中、本人が放った一言が
「ママ。できっこないをやらなくちゃ、だもんね」
そうだ。私は本人に何度も言っていた。
話すのも歩くのも、なんなら成長速度も標準から大きく外れているのが現状だった。
歩行のリハビリ等でも何度も泣きながら「できない」って言っていた長男に対し、確かに言っていた。
「できっこないをやらなくちゃ」
それを彼は聞いていて覚えていたのかと一人涙腺崩壊していると同時に
できないって思っていたのは私だけで
トランポリンの先生も、周りのお友達もずっと信じていたんです。
できるできないって自分で決めるんだぜ
いつのころからか「できる」「できない」は、他人からの評価と化していた現状をとても恥じました。
他人から何を思われようがどうでもいい。
お母さんも、あなたと同じく
自分自身で決める。
できっこないをやらなくちゃ。そう改めて思いなおした日でした。
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ライター紹介
武藤 佑香里
松坂世代で阿蘇生まれ、熊本市在住。
年齢を重ねたものの、いまだ何かが分かった訳でもなく。ただ迷いつつ、でもがむしゃらに手探りでどーにかこーにか生きております。
元金融なのに計算があまり好きではありません。四十肩防止で毎朝ラジオ体操が日課(にしたい)。
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