COLUMN

2020.09.07

気象にまつわる用語の難しさ

坂田 坂田

みなさま台風10号の被害はなかったでしょうか。

まだ被害の全貌が明らかになっていないものの、各地で停電が起きているようです。早い復旧を願います。

寝たり起きたりしながら、夜通しテレビをつけて台風の情報を見ていました。

こんな時、アナウンサーさんや気象予報士さんの解説に、どういう意味??と思うことがあります。

気象に関して私が無知なだけかもしれないけれど、天気予報で言われる言葉って、何だか分かりにくいものもあると思うのです。

決して難しい単語は使っていないのに、今ひとつその意味をとらえられない言葉。不思議です。

「うねりを伴う波」

言葉としては、うねりも波も知っています。でも、「うねりを伴う波」となると、がぜん怪しくなります。

気象庁のサイトで調べました。

波というのは基本的にはその場の風によって発生する(風浪というそうです)けれど、台風などの場合は、すごく離れた場所で発生した波も「うねりとなって」遠くまで届くことがある。そういう状況を天気予報では「うねりを伴う波」と呼んでいるようです。

場合によっては、その場の風や波がおさまっていても「うねり」は起きる。今いる場所の風の強さだけで判断せず注意すべき、という感じでしょうか。

説明を聞いたら理解はできるけれど、全然知りませんでした。理科の授業とかで習ったのかな。

「非常に激しい雨、または猛烈な雨になる可能性があります」

こういう表現も天気予報で時々出てくるけれど、分かるような分からないような言葉です。
その二つの違いが何なのか、ぼんやりと「猛烈な」の方がひどそう?と思いつつ、あんまりイメージがわきません。

これも気象庁のHPを見たところ、予報用語では

・1時間の雨量が50ミリ以上80ミリ未満の場合は「非常に激しい雨」

・80ミリを超えると「猛烈な雨」

と呼ぶのだそうです。

ラジオとかで聞くなら「非常に激しい雨または猛烈な雨になる可能性があります」よりも、「1時間に50ミリ以上、場合によっては80ミリ以上の雨になる可能性があります」の方が分かりやすい気がします。

「非常に激しい」とか「猛烈な」では、一般的な言葉すぎるというか抽象的です。

警報レベルの雨が迫る中で、日本語の機微にまつわる判断をこちらにあずけないで欲しいと思うのはわがままでしょうか。

ポエム調になるのは何とかならないのかな

そして難しい問題だとは思いますが、気象庁の会見やニュースでも最近よく聞く「命を守る行動をとってください」「大切な人に知らせてください」系の表現。

一見すると強い言葉のようだけれど、ふんわりしすぎていませんか。具体性に欠けるので、どこかポエム調にも聞こえます。

「受け手の想像力に頼りすぎるのは危険」です。

普段のライティングや会話でもそうだと思うけれど、非常時には尚更です。

とにかく命を守ることが最優先、そのための行動は状況に応じて即座に判断。

それは分かります。でも、これを幅広くみんなに周知・注意喚起するのって、本当に難しいですよね。

個人的には、何をするのが「命を守る」ことに繋がるのか、緊急時に正しく判断できる自信はありません。

「とにかく出来るだけ早く避難して」「離れて暮らすおばあちゃんとかがいたらすぐ伝えて」などと、いくつか具体例も合わせて言う方が行き違いは少ないかなとも思うものの、それだけではないですしね。

伊勢湾台風に匹敵

最後は小さなツッコミレベルの話ですが、今回の台風10号が発生前後に「伊勢湾台風に匹敵」と言われていたこと。

なんかヤバそうとは思いつつ、今ひとつピンときませんでした。

そもそも伊勢湾台風は昭和34年だし、特に被害が大きかったのは愛知や三重など東海地方です。「伊勢湾台風並み」と言われて「ああ、あんな感じね」と思える人は多くないと思うんですよね。

ちなみに私は東海地方の内陸部の生まれなので、実家の父(当時10才)に聞いてみたところ「経験した中で最強の台風はぶっちぎりで伊勢湾台風」「マジで家が飛んでくと思った」のだそうです。実際に近所で何軒か倒壊したとも。

うちの父を脅かす目的なら「伊勢湾台風に匹敵」はめちゃくちゃ有効かもしれません。

ともかくまだ風は強いし、台風シーズンは続きます。

天気予報の言葉に注意しながらよく聞いて、みなさまどうかご安全に。

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