COLUMN

2021.09.21

ドリルを買いに来る客が求めているのは「穴」?

坂田 坂田

8割方は猫の話を書いているこのコラムですが(だってかわいいんですもの)、たまには広告屋らしいことを書きましょう。

マーケティングについて。

でもごめんなさい、お役立ち情報というよりはまだまだ模索中の事象です。

ほしいのは、ドリルか穴か。

このコラムのタイトルに書いた「ホームセンターへドリルを買いに来る客が本当に欲しいのは、ドリルではなくてドリルを使って開ける“穴”である」というフレーズ。

聞いたことがあるという人も多いことでしょう。マーケティングにおいて、よく耳にする表現です。もともとはセオドア・レビット博士というエラい人が書いた50年以上前の書籍におさめられているフレーズなのだそうですね。

その客は、どこにどんな穴を開けたいのか。誰が作業をするのか。何のための穴なのか。

それによって、訴求の仕方は変わる。それを知った上で、適切な提案ができる。

場合によってはドリルを売る必要はないかもしれない。プロが穴を開けてくれるサービスや、初めから穴が開いた板を提供することに取って変わる可能性もあるのです。

だからこそドリルを買いにくる客が求めているのは「穴」だと言える。

マーケティングを考える上で、忘れてはならない基礎なのだろうと思います。

ドリルマニアもいるんだよね問題

ただし、ドリルのベネフィットは「穴」であるに違いない、と考えるのは危険です。

世の中には本当にただただドリルそのものがほしい人だっているのです。

そのドリルを使って穴を開けることはただの一度もなく、ドリル本体をインテリアにして愛でる人がいるのです。しかも案外たくさん。

そういう人には、ドリルの使いやすさはそれほど重要ではないでしょう。

一方で、フォルムのわずかな差異や些細なパーツのちょっとしたこだわりポイントを見逃さずに喜んでくれるのも、そんなドリルマニアの人たちかもしれません。

ドリルは極端な例としても、靴や車、アナログ家電、時計やジュエリーなどにはよく起きる事象でしょう。

性能は二の次、観賞用として、あるいはコレクション欲を満たすためだけの所有です。

で、何が言いたいかと言うと

ドリルと穴のエピソードは「顧客にとってのベネフィットから考え、答えを導くべきである」と言う意味で語られます。

ドリルマニアにとっては「そのドリルを所有すること」が目的でありベネフィット

穴なんて別にほしくないのです。

手段と目的、ベネフィットを混同してはいけません。

顧客にとっての価値を考えようとする際に、「ドリルを見ている→穴を開けたいに決まっている」と思ってしまうことが多いような気がするのです。

その商品の先にあるもの、その商品を取り入れたライフスタイル、そういうものを提案すればいいと条件反射的に考えるのは、売り手やマーケター、そして私たち広告屋にとって危険なことかもしれない。

そんなことを最近考えています。

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