COLUMN

2020.05.18

世代ごとに異なる言語感覚、の話

坂田 坂田

文章を書く時に、どんな単語を選ぶべきかという話です。

たいていの場合、ある事柄や概念を表すための単語にはいくつかの候補があります。
類義語、同義語というやつです。

たとえばこれ。

何と呼ぶべきか。

デニム、ジーンズ、ジーパン。

厳密に言えば上の3つはまったく同じものを指す訳ではありませんが、世代ごとになじみのある言葉が違うのではないでしょうか。

普段はデニムと呼んでいるものの、記事の中で使う場合はまた別。
その文章が掲載されるメディアの特性や想定される読者層、そんなことを意識しながら単語を選ぶ必要があるかもしれない、と思うのです。

世代ごとに認知度の異なる単語って、意外に多いかもしれない

つい最近、団塊世代である両親に「それはフェイクニュースだよ」と言ったところ、フェイクニュースって何?と返されました。
彼らには「ガセだよ」あるいは「デマだよ」のほうが通りが良いようです。

「フェイクニュース」という単語はかなり一般化した感がありますが、団塊世代に向けて発信するなら別の表現にするほうが良いのかもしれません。

ライターとして日々いろいろな文章を書く中で、そんな風に単語の選択に悩むことがあります。

自分自身の日常語彙にはなくても、その文章を読んでくださる読者層になじみがある言葉を選ぼうと考えつつ、本当にその単語がフィットするのか、判断に迷うのです。

若者向けにと思って一生懸命選んだ言葉が、めちゃくちゃ古くさかったらどうしよう。
必要以上に昔風の言い方をして、年寄り扱いするなと思われたらどうしよう。

さじ加減が大切です。ぴったりの言葉を探すのって、なかなか難しいのです。

どちらの言葉がしっくりくるか

シャンパン、シャンパーニュ、泡。
タートルネック、とっくり。
セール、バーゲン。
スウェット、トレーナー。

どれが良いとか古いとか決めつけるのではなく、それぞれにふさわしい文脈がありそうです。

日常語彙にはないけれど意味は分かる、という単語をうまく入れられれば、ぐっとレトロな趣が生まれることもあります。

とっくり、なんて本当に言い得て妙、独特のニュアンスがあって素敵な言い回しですよね。
まあそもそも最近は、タートルネックそのものがあまり流行っていないような気もするけれど。

服飾用語は移り変わりが激しいので、特に注意が必要かもしれません。

でもベストをジレと呼ぶのは何だか気恥ずかしい。それならいっそ一周回ってチョッキと呼びたい。そんな気持ちにもなります。

言葉のチョイスは、世界観そのものかもしれない


何でも世代論で語るのは好きではありませんが、その世代特有のワードセンスというのは確かにあるような気がします。

ぴったりの言葉がバシっと選べたら、その文章・その広告の完成度は一気に高まります。ぐっと響くものになります。

ある世代特有の言葉遣い。個人的には、バブル世代の先輩方の語彙が大好物です。

アッシーくん、耳ダンボ、イタ飯、アウトオブ眼中。

バブルの華やかだった時代を彷彿とさせる言葉たちが、実にまぶしいものに映ります。
語彙は世界観そのものだな、と思います。

なんて言いつつ、若い人たちには、40代の私たちの言葉づかいも奇妙なものに感じられていることでしょう。

いまだに「超かわいい」とか「写メ」とか、たまに言ってます。ごめんなさい。

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